12条点検(建築基準法第12条 定期報告)について in 沖縄県

定期報告制度とは

建築基準法は昭和25年に制定されました。そして、昭和34年の法改正時に定期報告制度が盛り込まれ、昇降機および建築設備の所有者は、定期的に建築主事またはその委任を受けた市町村または県の吏員の検査(官庁検査と称した)を受けなければなりませんでした。
昭和45年の法改正により「定期検査報告制度」が正式に誕生しました。その後も多くの災害事例を受けて安全対策が見直され、建築物の所有者には維持保全を適切に推進し、建築災害・事故を未然に防止することが求められています。

建築基準法第8条(維持保全)

「建築物の所有者・管理者・占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定められています。

建築基準法第12条第1項、第3項(定期報告制度)

不特定多数の人が利用する建築物について、所有者・管理者は、専門技術を有する資格者に定期的に調査・検査させ、その結果を特定行政庁に報告することが定められています。安全上、防火上または衛生上特に重要である建築物については、政令により一律に報告対象とし、それ以外の建築物については特定行政庁が地域の実情に応じた指定を行います。

建築基準法第101条(罰則規定)

上記のように建築基準法によって建物の維持管理・定期報告制度が定められており、告をしない、または虚偽の報告をした者は、100万円以下の罰金に処されることが定められています。

検査種類と有資格者による定期調査の業務範囲

一級建築士・二級建築士は、3種類すべての定期報告業務を行うことができます。
特定建築物調査員・建築設備検査員・防火設備検査員は、それぞれの調査・検査のみ報告業務を行うことができます。

★特定建築定期調査・・・一級建築士、二級建築士、建築設備検査員

★建築設備定期点検・・・一級建築士、二級建築士、建築設備検査員

★防火設備定期点検・・・一級建築士、二級建築士、防火設備検査員

検査対象物・検査範囲について

各特定行政庁により検査対象建物・規模と頻度は異なるため、各特定行政庁へお問い合わせください。

特定建築物定期調査の検査対象

特定建築物定期調査とは

特定建築物定期調査は、建物全体の劣化損傷、防災上の安全対策等について幅広く調査することを目的としており、調査の対象は大きく分類すると以下の6項目です。
調査は各項目共通で、現行法規等に基づき建築物の現況を調査します。

  • 敷地および地盤
  • 建築物の外部
  • 屋上および屋根
  • 建築物の内部
  • 避難施設等
  • その他

建築設備定期検査とは

建築設備定期検査とは、設備の不具合で起こる事故から利用者の安全を守るために行います。調査の対象は大きく分類すると以下の4項目です。
対象となった設備は法的な設置の要・不要を問わず、原則全数(*)が検査対象となります。

  • 換気設備
  • 排煙設備
  • 非常用の照明装置
  • 給水設備および排水設備

(*) 検査自体は毎年実施が必要となるが、大臣が定める次の検査項目(設置箇所が多い)については、3年の間に全数検査を行えばよい。
①換気設備:無窓居室の換気状況評価、②排煙設備:排煙口の風量測定、③給排水設備:雑用水の用途(中水の状況)

建築設備定期検査の検査対象

1. 換気設備

「無窓居室」「火気使用室」「居室等」にある機械換気設備が対象です。
これら各室の換気設備の作動状況および風量測定の他、関係する箇所についても不具合や劣化損傷がないかを検査します。

    • 給気機・排気機の作動状況
    • 給気ロ・排気ロの設置状況、風道の材質等
    • 換気風量の測定(無窓居室・居室等についてはCO2濃度測定で代替可)
    • 中央管理方式の機器の性能(温度、湿度、気流、浮遊粉塵、CO、CO2)
    • 防火ダンパーの設置状況

検査対象となる部屋

① 無窓居室 :その部屋の床面積の1/20以上の有効開ロ面積を有する窓がない居室
② 火気使用室:調理室等でコンロ他、火を使用する器具を設けた室 。電熱器は対象外
③ 居室等  :劇場・映画館・公会堂・集会場等の客席がある室

2.   排煙設備

排煙設備は火災時に煙を屋外に排出する設備で、建築設備の定期検査では、排煙ロ・排煙機・排煙風道・手動開放装置などから構成される機械排煙設備が対象です。
排煙窓のような自然排煙設備は、特定建築物の定期調査で作動状況を確認します。

    • 排煙機の作動状況・風量の測定
    • 排煙口の設置状況・風量の測定
    • 手動開放装置の設置状況
    • 排煙風道・防火ダンパーの取り付け状況
    • 自家用発電装置の設置状況

【 排煙設備の種類 】
① 吸引式:120㎥/分以上、かつ、防煙区画面積あたり1㎥/分で煙を屋外に排出する方式
② 給気式:送風機により室内に給気することで煙を押し出す方式(告示1437号)
③ 加圧式:送風機により付室等を加圧し、圧力差を形成して煙の流入を防ぐ方式

3. 非常用の照明装置

常用電源が失われた場合に点灯する照明器具が、非常時に避難に支障がないように最低限の照度が確保されているかを確認します。
避難方向を示す「誘導灯」は消防法で定められた設備であるため、非常用照明と兼用しているものを除き、検査対象外です。

    • 器具の点灯および設置状況
    • 照度測定 ※白熱灯1ルクス以上、蛍光灯&LED2ルクス以上
    • 配線の状況(別置形)
    • 蓄電池設備の状況(別置形)
    • 自家用発電装置の設置・燃料等(別置形)

【 非常用の照明装置の種類 】
① 電池内蔵形:器具内に蓄電池を内蔵するタイプのもの(電池の良・不良を充電ランプで確認)
② 電源別置形:電気室等の蓄電池設備または自家用発電装置から器具へ給電するタイプのもの

4. 給水設備および排水設備

受水槽・高置水槽・汚水槽・雑排水槽・合併槽がある場合に検査対象となり、これらがない増圧直結給水方式の場合は対象外となります。
また、目視で確認できる範囲の検査であるため、隠蔽部分や埋設部分についても対象外となります。

  • 飲料用配管および排水配管の取付状況、貫通部の処理の状況
  • 給水タンクの設置の状況、保守スペース
  • 通気管、オーバーフロー管の防虫網・水抜き管の間接排水等
  • 給水ポンプの運転・取付状況
  • 排水槽、マンホールの設置状況
  • 阻集器の設置状況(厨房・駐車場・美容院等)
  • 排水再利用配管設備(中水の着色通水試験:クロスコネクション確認)

※当社にて調査依頼する場合には、メールでの問い合わせや電話での問い合わせをお待ちしております。

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